「空の境界」読了
で、休みだった昼間は何をしていたかというと、寝食を忘れて読書。
この間買ってきた講談社ノベルズの「空(から)の境界」(上下)を読み倒してました。感想は……正直に言うとつまらない。「月姫」「Fate」で有名になった著者の同人小説が講談社から出版される、という話題性で買ってみたのだけれど。
上下巻を一気に読み切ってしまってはいますが、もともと私は本の虫なところがあるので、読める文章である限りは何であろうと読み倒してしまうという悪癖があります。で、今回もそのパターンに陥っただけの話。
……いい加減、この癖も直さないとなぁ。おかげで、今日銀行からお金下ろし損ねたし。
でまあ、つまらないと感じるのは読んだ後に何も残らないから。「娯楽とはそういうものだ」という人がいるかもしれないけど、それでも普通は高揚感が残る。困ったことに、これにはそれもない。
結構悪文だけど、アルファシステムのWebサイトで連載されている「Return to Gunparade」はかなりの高揚感が残る。「うしおととら」や「からくりサーカス」(二つとも漫画だ)なんかもそうだ。「ヘルシング」もそういった口。
ライトノベルでは、上遠野浩平の「ブギーポップ」シリーズなんか割と「空の境界」に近いけど、少なくとも、受け取るものが私にとっては決定的に違う。
なんというか、上遠野浩平の小説からは「人間は迷うものだし、それでも選択するのが大切なのだ」という主張と人間に対する肯定が感じられる。そういったものが「空の境界」からは感じられない。そこに描かれているのは、規格外になってしまっている人間達がただうろうろするだけのお話し。
……こんなのを「新伝奇」とか言って持ち上げている講談社がちょっと信じられない。
で、口直しに宮部みゆき著の「ICO 霧の城」とCD2枚を購入。今月は全然ゆとりがないのに、こんなことしててもいいのだろうか。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
私も同意見です。小説や物語に感動や何か残るものを期待して楽しむ人は この伝奇小説はつまらないと思います。ですがこの著者の創る独自の世界観と言うものを私は気に入りました。そういうものに惹かれて奈須きのこさんの作品を楽しむ人には、この作品はそうつまらないものではないと思います。
投稿: data07 | 2004.08.25 19:34
僕はこの作品の世界観がとても好きです。独特の死生観や「 」という表現には思わずうなってしまいました。
「抑止力」や「根源」という概念も、考えれば考えるほど面白いです。表面をなぞるだけではあまり面白くないでしょう。まぁ、深めるとなお意味がわからなくなってくる作品ですね、コレは。
投稿: 彩心 | 2005.06.27 15:28
えーとですねぇ。
世界設定とか表現とかそういう構成部品は興味深いんですよ。「月姫」や「Fate」も同じ部品を使ってますしね。
で、そういった部分の考察を進めるのはとても面白いのですが。
エンターテイメントとしてはどうでしょう? もしくは、伝奇小説としては? もっと根源的な言い方をするなら、「『物語』として、『空の境界』は面白いのか?」ってことです。
複数人で作成されたゲームと一人で書き上げた小説を比べるのもどうかとも思いますが、「Fate」と「空の境界」では明らかに前者の方がエンターテイメントとして完成度が上だし、製作者の主張もはっきり打ち出されていると思います。
そういう部分が希薄な作品を(実質的に処女作だからしょうがないのだろうけど)異様なほど持ち上げている出版社が一番信じられませんね。
投稿: 篁 | 2005.07.12 17:52
まったくの同意見です。確かに世界観や独特の言い回し、思考などは、面白いといえなくもないです(私はそれすら苦痛でしたが)。
やはり、本であって、設定資料集ではない以上、なんらかの娯楽性、メッセージ性を求めて読む人にとっては面白くないと感じられる、と言ったほうが正しいのかもしれません。
amazonでも酷評したところ、参考になった人の数とそうでない人の数は半々くらいになっています。
やたらと持ち上げる一部の狂信者と、それにあやかろうとする出版社にまんまと踊らされた感があります。
加えて、奈須きのこ氏の文章は、ビジュアル・演出等あってのものであることも、単なる本というメディアにおいてまで高評価を得るにいたらなかったことの重大な要因であると思います。
fateも、おそらくアレを本として読まされると考えると、本当にぞっとしません(苦笑
超亀レスでしたが、端的に面白くないと思われている稀有(?)な感想を拝見して思わず書き込んでしまいました。
投稿: sato4 | 2008.06.25 22:32