リプレイに何を求めていますか?
4月に金の葡萄さんの「リプレイについての考察」へトラックバックしてコメントしたら、「続 リプレイについての考察」で返事をもらった。
一読して、「返事を書かないといけないかな」と思いつつ2ヶ月放って置いたが、「いい加減、何かしないと」と思いつつ再読してみた。
……意見がかみ合ってないっぽい。これ以上言葉を重ねるのも無駄な気がするけど、ちょっと書いてみよう。
リプレイが提供しているモノは何だろう? ざっくり数え上げてみよう。
1)ゲームを題材にした娯楽読み物
2)TRPGのプロモーション
3)ゲームのプロモーション
4)(主に新作の)ゲームシステム運用の実例
5)公式設定のタイムラインの変化
6)ゲームプレイング(PL側作業)の実例
7)シナリオプレイング(GM側作業)の実例
8)シナリオメイキングの実例
9)ゲームプレイングの記録
金の葡萄さんが求めている情報は、
a)世界描写
b)背景描写
c)キャラクターの心理描写
このうちリプレイが提供できてるのはa)とb)を1,3,5でちょぼちょぼ、と言うところだろう。
c)にいたってはまずない。そもそもTRPGをプレイしている諸氏に聞きたいが、自分のキャラクターの心理描写とか、ゲーム中に事細かにしてるかね? やるのは面倒だし、やられたら鬱陶しいだけだと思うんだけど。プレイ中にすることがほとんど無いものが、リプレイに記録されることなんてあるはずがない。
前回の記事で「「どういう風に遊んでいるのか」に興味があるのであって」と表現したのは4,6,7の意味合いだ。9の意味じゃあない(9の意味で受け取られたように見えたけど)。 後書き含めて分析をかければ8)も読み取ることができるけど、そこまでする人はそういないでしょう。
ソードワールドRPGの文庫リプレイとかが売れ続けてるのは、1)にあげた「娯楽読み物」としての部分が大きいでしょう。ソードワールドは元々商品展開を小説とリプレイの2本立てで考えてた節もありますし。ただまあ、「ルールブックとシナリオを買えば、きみにも小説/リプレイと同じような感動が!」という路線でのプロモーションだったので、システムは第1世代だったのにシナリオの記述法は第3世代を先取り、と誤解を招きそうなフォーマットになってますが。
ちょっと、某所のブログコメントに対しての嫌みになってしまったけど、それはさておき。
金の葡萄さんのもやもやとした疑問に対して、
「リプレイは今や、ゲームタイトルに密着し、尚かつ小説よりも安易に創作できる娯楽読み物として生産・消費されているモノがほとんどである。それ以上のモノを求めるのは無理」と夢も希望もない結論を書いて、この論は終了とします。
#何か偉そうな文になってしまったけど、本音を出しました。気に障った方、ご容赦のほどお願いします。
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コメント
こちらでははじめまして篁さん。
ちっと気になったので覗いて見ました。
多分篁さんもそのあたり踏まえてると思うんですが、金の葡萄さんはボードマルチ/ウォーゲーマーなのかな、と思うのです。
作戦研究とか史実の背景研究を求められるウォーゲームのリプレイと、一種のお楽しみ読み物として発達してしまったTRPGのリプレイは全く違うのですが
マルチ/ウォーゲームがメインの人から見ると「リプレイとして不足が多い」ものに見えるのではないかなと。
心理描写~というのも、キャラ心理というのがそれなりにゲームの内容を為しているようなプレイをしている人であれば、リプレイに含めて欲しいというのは分からんでもないです。
で、何を言いたいかというと、結論としては「現状のリプレイ読み物で望むような物を作ることは無理だし、そもそも現状のリプレイ読み物は、書き手・読み手ともそういう方向を指向していない」ということになります。
心理描写、背景説明、世界描写……
これらをプレイの記録の一部として盛り込み、それなりにくだいて読ませるには、字数的に無駄の多いト書きのリプレイではない方法が向いています。
端的に言ってしまえばリプレイ小説を含んだ資料集にしてしまうのが早いのです。
それでもリプレイが書かれ、売れているのは、読者の興味が読み物であるリプレイに向いているということに他なりません。
結局現状としては、読み手も書き手もウォーゲーム雑誌のリプレイ特集のようなものは、TRPGのリプレイに対しては望んでいないということであると思います。
投稿: Djinny | 2006.07.03 21:23